天体撮影in長野
「天体撮影行こうぜ!」
そんな友達の誘いから、福島への天体撮影がスケジュールされました。
しかし、当日の雲の流れが良くなかった事から福島での決行を断念。
第二候補に挙がった長野へ行く事になりました。
長野へ行った事はありません。
僕にとっての人生初長野となります。
市川で合流した友人の運転する車に揺られて首都高を通り、中央道を通り、長野入り。
見晴らしの良い道路で車窓から見える景色が格別でした。
高い山々が連なる景色が僕の今まで住んでいた世界とまるで違います。
僕は宮城出身です。
宮城は東北の米どころとして有名でして、水田が多くあります。
そして標高が低く、広大な平野、大量の水田、遠くに見える奥羽山脈といった景色です。
具体的にはこんな感じです。
上の写真が宮城です。
広大な平野にたくさんの水田が広がっていて、隣街や遠くの山々が見えます。
しかし長野は違う。
ご覧ください。
標高が高くこの位置で1200m。
近くにアルプス山脈が見えます。
水田もありますが、今回の活動範囲では比較的畑を多く見かけました。
宮城は平地だから水の流れを管理しやすい理由もあって水田が多いのかもしれません。
平野があったかなーと思うと、山道に入り、登ったり下ったり。
「民家がこういう所にあるのか」
「どうやって学校や病院へ行ったり、買い物をしに行くんだろう」
「どこに娯楽施設があるんだろう」
と住む人々の生活に興味がわきました。
この時点で昼ちょい過ぎ。
目的が天体撮影なのに、この時間に現地に着いた事には理由があります。
それは目的地へ行く道のりと現地の地形、撮影場所の注意事項や、撮影ポイントと他のお客さんへの配慮がどの程度必要かを見極める為です。
早めに道のりを確認して正解でした。カーナビの指し示す道を走ったら、走りやすい一般道から、車が1台半通れる程度の細い道へ入り、農道なのか車がすれ違えないような小さな道へ誘導されました。
まるで小学校の頃に自分達だけが知っている通り道のような景色です。
車の中では
「ジブリ映画みたい」
「これトトロに会えそうだよね」
なんて楽しみながら、運転手の友人は冷や汗をかきながら運転してました。
撮影の目的地は国立天文台 野辺山宇宙電波観測所です。
駐車場に車を止めて周囲を見渡すと、とてもコントラストの効いた綿飴のような雲が見えたので思わずパシャり。
施設は内部見学こそできませんが、屋外は見学可能なので「せっかくだから見て行こう!」という事で見ていきました。
守衛所で受け付けを済ませると、スマホ等の通信機器が電波を発信しないように案内をいただきました。電波観測所だからですね。研究の為、電波干渉しないように配慮が必要なのも納得です。
施設にはいるやいなや、巨大な望遠鏡が遠くにそびえたつのが分かります。
なんだアレは。気になって仕方ありません。45m電波望遠鏡観測棟らしいです。
45mですか。デカいですね。
45m電波望遠鏡の前にはいくつものミリ波干渉計が並んでいました。
下部には台が取り付けられていて、この台の底面には扉が有り、そこから人が出入りできるようです。(見学客は出入りできません)
このアンテナはどうにかこうにかするとレールに乗せる事ができるらしく、縦横移動できるらしいですよ。
でも、現在の時点でこの6台の科学運用は終了しているんだとか。
ミリ波干渉計
6台のアンテナをケーブルでつないで同時に観測することで、最大で直径約600mの電波望遠鏡に相当する解像力で天体画像を描き出します。主に天体の様子を細かく調べることに威力を発揮してきました。アンテナは専用の移動用台車を使い、最適な観測位置へと場所を変えることができます。現在、科学運用は終了しています。
10mミリ波干渉計を横目にいよいよ巨大な45m電波望遠鏡観測棟です。
観測棟というくらいですから、ふもとにプレハブのような部屋がくっついてますね。
奥に見える施設も関連施設のようです。
ここは2Fから見学者が出入り可能で、ガラス越しに研究室っぽい部屋を除けたり、紹介映像を見る事ができます。
屋外に45m電波望遠鏡観測棟のミニチュア版があり、これは見学者が操作する事ができます。
操作盤はゴツいハードケースに施錠されていて蓋を開けるとアンテナを上下左右に動かすボタンと、受信電波量の測量計が現れます。
このアンテナは太陽へ向けると測量計の針が動くようです。(この時は壊れていたのか動きませんでした)
電波の力を使えば離れた位置で会話もできる! という事で、アンテナへ向かって話すと対になっているアンテナで相手の声が聞こえるという施設がありました。
え、アンテナってスピーカーやマイクの代わりになるの? コイルも巻いてないのに?
実際にやっているお子様がいらっしゃったので様子を伺ってみました。
対になっているアンテナの距離はある程度離れているものの、お子様同士はアンテナの前に立って相手の顔に向かって話しかけ、聞き手も相手の方を向いて聞いています。
声が大きいのでアンテナから声が聞こえる事が確認できませんでした。
施設を一周し車へ戻ろうとしたら謎のオブジェが。
「これなんだろう」
「処刑用の椅子みたい」
「背もたれについている突起物が怖い」
など話しながら近くのプレートを読んでみたら、これは日時計だという事が分かりました。
日の動きを観察する事と掛け合わせているようです。
車へ戻り、夜の撮影ポイントを定め、空いた時間をどう有効活用しようかと相談し、温泉へ行って汗を流す事になりました。
温泉へ行く道中に野辺山駅がありました。
野辺山駅はJRの中でも最も標高が高い位置にある駅らしいので「折角ここまで来たんだし、通り道の途中にあるなら行ってみよう」と行くことにしました。
最も高い位置にある駅なら、人の手入れがしにくい環境なんだろうなと予想していたら、予想外に綺麗で可愛い駅でした。
電車が来る時間になると撮影を目当てに沢山の人がくるらしいですよ。
僕らは電車の時間を調べていなかったし、別に探しているものがありました。
探しているものとはこれです。
記念碑。碑と呼んでいいのか分からないですが。
これは最も高い位置の駅の碑ですが、これと別に最も高い位置の線路付近にも碑があるらしいですよ。
最も高い位置の線路は1375mの高さらしいです。
駅を後に温泉を目指す僕達。この時17:37でした。
温泉に入る時間、夕飯を食べる時間。一見、何も問題がなさそうですが、考慮不足な事が有りました。
ここは旅先だ!
そう、旅先のお店は閉店時間が早いのです。
飲食店が7時や8時に閉店するのはよくある話。
先に温泉へ行って到着時刻と入浴時刻を考慮して……温泉施設に食堂が無いからお店を探して……いやそもそもお店が少ないし、どうしよう。
目的は天体撮影。夜は長く、多少の時間のズレは許容可能です。
温泉施設が21時まで営業している事は確認したので、見つけた飲食店で夕飯を済ませる事にしました。
「朝と昼がパンだったからパン以外がいい」
「長野っぽい物が食べたい」
と話しながら「見つけた!」と入ったお店がこちら。
長野といえば信州そば!
旅先どこにでも有りがちなそばうどん。 なんだ名物じゃないのかーと嘆く事はありません。
このお店の蕎麦は信州そば! ここが長野で良かった!
お店の左側ではお土産を売って居ます。 いなごとか、伽羅蕗(きゃらぶき)や唐辛子を売ってましたよ。
お店の右側が飲食スペース。
網戸の向こうには長野の壮大な山々が連なります。
野菜天ぷらそばを注文し、美しい景色を眺めながら美味しくいただきました。
お店の裏には勝手口の蕎麦に小さな畑がありました。
もしかしてそこで収穫した野菜かな?
薪もありましたよ。まだ割る前の薪です。
何に使うんだろう……?
お腹も程よく満たされたところで温泉へ。
偶然空いている時間に行ったのか、受付は不在でこのような箱が置いてありました。
無人販売といえば、農作物。温泉では人が殆ど管理していない場所という先入観がありました。
旅館がこのシステムを導入をしている背景を色々考えたのですが、きっと皆に信頼されてるからなんですね。(と思いたい)
皆お釣りが必要だったり、タオルを借りたいという事で受け付けの人をベルで呼びました。
入浴場の案内をいただき、指示を貰った通りに進んだのですが、道中にトレーニングマシンがあったり、書架があったりで、連れが入浴から上がってくるまでの待ち時間を過ごすに飽きさせない工夫もありました。
ついに日が暮れたので、本命の目的地へワクワクしながら車を走らせます。
そして、現地到着。
そのタイミングではあいにく空に雲が掛かっていましたが、雲の予報を見ると3時間後には雲が無くなる見込みだったので車内で仮眠を取り雲が晴れるのを待ちました。
そして、ふと目が冷めました。
普段車内泊をしないせいか、首が痛い。肩が痛い。
「うーん……」
なんて言ってる側で
「見て! 星が見えるよ!」
と外を眺めると、満天な星空が見えました。
こんなに小さな星まで見える夜空は初めてです。
生の天の川を肉眼で見れた貴重な機会でした。
カメラの設定を調整して何とかとれたのがこの1枚。
この後、雲が再び空を覆って見えなくなってしまったのですが、この前はめちゃくちゃ綺麗な星空だったんですよ!
カメラの設定は
F値とにかく低く
ISOは低い方がいいけど800くらい
シャッタースピードは8~20秒くらいです。
とはいえ、撮りながら設定するのが正解です。
意外とISO3200とか30秒とかでも撮れたりしますよ。
あ、今回の天体撮影仲間はサークルで知り合いました。
皆さんも楽しいカメラライフをお過ごしください~